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クリエイターインタビューと座談会
撮影の仕事とは?

撮影の仕事とは?

「撮影」のお仕事について

「撮影」とは、どういった仕事なのでしょうか。
「原画」「動画」「仕上」「美術」など、各部門のクリエイター陣が制作した素材を合わせてアニメーションの映像を完成させる仕事であり、一言でいうと、皆さんが最終的に目にする映像を作る仕事です。
具体的には、アニメーターの描いたキャラクターと背景美術を合わせてカメラワークやエフェクトを加えて完成画面をつくっていきます。
画面の陰影はレイアウト時に指示され、キャラクターの影付けはアニメーターが、背景は美術が描きますが、単純にキャラクターと背景美術を重ねただけでは画面として成り立たない場合もあります。そのため、陰影をコントロールして馴染ませたり、光源を強調したりといった処理を加える事もあります。
仕事のやりがいは何ですか。
完成画面に一番初めに立ち会えることです。
撮影の作業は最終工程になるので、前工程のクリエイター陣の作業あってこその仕事ですが、撮影として自分の思いを込めて画面を完成させています。なので、自分で作り込んだ画面を一番に目にできることにやりがいを感じます。もちろん、ラッシュでOKになればの話ですが、、、
仕事をする上でどのようなことを心掛けていますか。
撮影に至るまでの前工程のクリエイター陣の仕事に対するリスペクトは常に持っています。
ポノック作品での自分の立ち位置(映像演出)は、撮影といっても自ら手を動かすのではなく統括する立場にあります。現場の撮影作業は信頼している外部の撮影スタジオにお任せし、自分はレイアウト、背景美術、原画、動画、仕上など各工程の素材の上がりをチェックして、問題なく撮影できるようにする作業を行っています。
その際に、どこかの部門にしわ寄せが集中せず、クリエイターの皆さんが最良のものを上げて次の部門に繋げられるような工程づくりを工夫しています。
仕事をしている中でどのような時に喜びを感じますか。
完成した画面を見て、監督が喜んでくれることが一番嬉しいです。
良い意味で予想を裏切る画面ができて喜んで頂けるのが嬉しいので、そのような画面をつくりたいといつも思っています。
どのような人材がこの仕事に向いていると思いますか。
様々なことに観察眼を持てる人が向いていると思います。
例えば、雲越しに月が見えたとき、周りの雲はどのように月の光の影響を受けているのかなど、日常の中で自然現象を観察することが大切です。
映像演出:奥井敦

1982年に旭プロダクションに入社。『ダーティペア(劇場版)』(87年)、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』(88年)などで撮影監督を務め、『紅の豚』(92年)の撮影監督としてスタジオジブリ作品に初参加。以後、『もののけ姫』(97年)、『千と千尋の神隠し』(01年)、『ハウルの動く城』(04年)、『コクリコ坂から』(11年)、『風立ちぬ』(13年)、『思い出のマーニー』(14年)、『君たちはどう生きるか』(23年)など数々のスタジオジブリ作品に映像演出及び撮影監督として参加。スタジオポノック作品では、『メアリと魔女の花』(17年)、『透明人間』(18年)、『屋根裏のラジャー』(23年)で映像演出及び撮影監督を務めた。