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クリエイターインタビューと座談会
原画の仕事とは?

原画の仕事とは?

「アニメーター(原画)」
のお仕事について

アニメーターの「原画」とは、どういった仕事なのでしょうか。
映画づくりでいうと、役者、カメラマン、大道具や小道具(セットづくり)を担当するほか、カットによってはプロップ等のデザインも行います。 具体的には、まずは監督からの指示に沿って役者の演技プランを考えます。そして、絵コンテや事前資料に沿って、その演技を効果的に見せるためにはどこからカメラを撮った方がよいのかを決め、カットを描いていきます。
仕事のやりがいは何ですか。
やることが多岐に渡っている分、自分で考えたことを絵に落とし込む裁量があるので、クリエイティビティを発揮できる機会がたくさんあることです。
また、アニメーターは一期一会だと思います。同じキャラクターを描くにしても、同じシーンで同じセリフを話すことは絶対にないので、すべての仕事を一期一会で取り組むことができる点にもやりがいを感じています。
仕事をする上でどのようなことを心掛けていますか。
キャラクターを深く理解することです。 ポノックは外連味のある動きや派手なアクションより、日常芝居、丁寧な作画を大事にしているので、キャラクターによって歩き方を変えたり、同じキャラクターでも心情によって歩き方を変えたりして心情をアニメートしています。
また、パターンにはまった絵にならないことを意識しながら、スピード感を持って取り組むことを心掛けています。
どのような人材がこの仕事に向いていると思いますか。
絵を描いていて苦にならないことが基本ですが、自分が好きな絵だけを描ける訳ではないので、いろいろなものに興味を持ってそれを掘り下げる好奇心がある人が向いていると思います。
また、アニメーション制作は共同作業です。仕事をする上で自分1人で完結することはないので、コミュニケーション能力も大切です。
手描きアニメーションの良さは何だと思いますか。
抽象度の高さです。 一つの画面の中で複数のレンズを選んだり、キャラクターの関係性、心情によって描き方を変えたりしますが、手描きだと、その味付けの調整に人それぞれの感性が出ます。
CGだと誰が作っても安定した画面になりますが、手描きの場合は同じカットを描くにしても、人によって描き方が変わりますし、同じ人でも全く同じ絵を描くことはできません。その不安定さ、ある種の人間らしさが出るところが手描きの魅力だと思います。
原画:山田伸一郎

2000年スタジオジブリ入社。『千と千尋の神隠し』(01年)、『ハウルの動く城』(04年)、『崖の上のポニョ』(08年)、『借りぐらしのアリエッティ』(10年)、『風立ちぬ』(13年)、『思い出のマーニー』(14年)など数々のスタジオジブリ作品に作画部として参加。その後、日本工学院八王子専門学校のマンガ・アニメーション科の講師を務める傍ら、『メアリと魔女の花』(17年)、『若おかみは小学生!』(18年)など原画として活躍。2022年、スタジオポノックへ入社し『屋根裏のラジャー』(23年)で原画を務めた。また、現在ポノック・アニメーター育成プログラム(通称P.P.A.P.)の主任講師を務める。