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クリエイターインタビューと座談会
美術の仕事とは?

美術の仕事とは?

「美術」のお仕事について

アニメーションの「美術」とは、どういった仕事なのでしょうか。
一言でいうと、キャラクター以外の画面を描き映画の世界観を作り上げる仕事です。
例えば実写映画だと、美術、装飾、小道具、大道具、照明などいろいろな役割がありますが、アニメーションではそのすべての役割を美術が担っています。
そのため色からライティングまですべて決めることができ、0から画面を作り出せることが魅力です。
また、机の上にあるコップ1つをとっても、それを飲んだ人はどんな気持ちだったかを考えるなど、ただのモチーフをスケッチするのではなく、キャラクターの気持ちを考えて絵を描くことも特徴です。
仕事のやりがいは何ですか。
自分が0から作り上げた世界に対して、「面白い!ここに行ってみたい」と共感してもらえることが嬉しく仕事のやりがいになっていますし、作品のために世界観を作り上げていることに日々幸せを感じます。
一枚の絵を描き上げる際、どのようなことを心掛けていますか。
監督の要望に応えながら、自分のやりたいことも一枚の絵に組み込むことです。
絵コンテを読んで、こういう絵が描きたいと自分の思いが湧きますが、しっかりと演出や監督の要望に応えた上で自分のやりたいことも描いていきます。そうやって全員の思いを実現させる絵が描けたとき、満足感を得られます。
どのような人材がこの仕事に向いていると思いますか。
執着心、向上心、絶対負けないという心がある人です。
絵を描くことに対して信念があることはもちろんですが、絵を描くことを仕事として楽しめることも大切です。
ポノック作品の背景美術にはどのような特徴があると感じますか。
オリジナル作品の制作では、日本だけではなく海外が舞台となる企画が多いことが特徴だと思います。そのため、様々な国や地域の建築、植生の勉強をしながら描くことができていつも新鮮さを感じます。
また、キャラクターの細かい心情表現を大事に描写しているシーンが多いので、それに合わせて美術も豊かにならないといけません。そのため、一枚の絵を上手く描くより、キャラクターの心を映し出す絵を描くことにチャンレジできて楽しいです。
美術:劉 雨軒

中国の中央美術学院卒業後、2012年春に来日し、スタジオジブリ作品『風立ちぬ』(13年)、細田守監督作品『バケモノの子』(15年)で背景を担当。2015年でほぎゃらりーに入社し、『メアリと魔女の花』(17年)、『未来のミライ』(18年)、『若おかみは小学生!』(18年)、『プロメア』(19年)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(21年)、『窓ぎわのトットちゃん』(23年)など数々の作品に参加。ポノック短編劇場の一篇『カニーニとカニ―ノ』では美術監督を務めた。